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矯正コラム

2022.05.26

インビザラインは顎の中心位

質問

ワイヤー矯正で精密検査をした際には、椅子に座ってリラックスした状態で上下の顎を噛み合わせて
顎の前後の中心位を確認していましたが、
インビザラインの精密検査ではその確認がありませんでした。
正しい顎の位置で開咬を治したいのですが、
インビザラインではそういった検査はしないのでしょうか?

回答

非常に専門的なお話なので、色々とお調べなのだと思います。
複数の医院で検査し、まだ治療を始める前の段階でしょうか?
ワイヤーか、インビザラインか、ではなく、歯科医院で方針が異なると思います。

中心位、中心咬合位、咬頭嵌合位の3つの顎位について理解をする必要があります。
さらに、最後方位や習慣性咬合位など、咬む位置というのは複数あります。
歯科医師によって、どんな顎位でゴールすべきと考えるかは変わります。
理想は、中心咬合位です。それが難しい時は咬頭嵌合位をゴールとします。

顎にとって一番負担がかからない顎位を中心位としています。
上下の歯の接触面積が一番多いのが咬頭嵌合位です。
中心位と咬頭嵌合位が一致しているのが、中心咬合位です。
中心位というのは、上下の歯が咬んでいるかどうかは関係ないので、
リラックスして咬んでいればすべて中心位です。ちゃんと咬んでいなくても。
質問者様は、この中心位でありながらちゃんと咬んでいる、
中心咬合位をゴールにしたいということですよね。

真っ当な矯正歯科医師であれば、中心咬合位を常にゴールとします。
しかし、顎位が安定しない人も多く、仕方なく咬頭嵌合位をゴールとせざるを得ないこともあります。
顎位が安定しない理由は、もともとの咬み合わせの干渉や、顎関節の形態や、顎間ゴムの使用です。
中心位の診査を検査の時に行う方法は様々ありますが、実は正確ではありません。
神経筋機構により、ずれた顎位で咬むことが」定着している患者さんを見抜くのは至難です。

顎位のずれが無いだろうと思って治療してく中で、突然顎位が変わることもあります。
顎位が変化すると、最初に立てた治療プラン通りにはいかなくなり、方向転換が必要になります。
検査は大事ですが、検査すれば大丈夫、というものでは無いのが顎位です。
私も治療途中の突然の顎位の変化に日々苦しめられています。他の矯正歯科医師も同じです。

顎間ゴムを使用すると、顎が動かされてしまうため、より顎位がずれやすくなります。
特に、Ⅱ級ゴムを使用すると下顎が前にずらされてしまうため、中心位が迷子になります。
開咬の治療というのは、顎間ゴムの日中使用が必須の治療となります。
ワイヤー矯正でも、インビザラインでも、外科矯正でも、必ず顎間ゴムを使用するので、
中心咬合位に狙ってゴールをさせるのが難しくなります。

開咬の治療はそもそも難易度が高く、歯科医師選びや治療法の選択を失敗するとうまくいきません。
そのような状態で、数年かけて、担当医も必死に治してようやく終われるのが矯正治療です。
もちろん、中心咬合位が理想ですが、必ず中心咬合位にしろと言われると全矯正医が困ることでしょう。

検査時に中心位の確認があったということは、なるべく中心咬合位を目指そうという歯科医院だと思います。
インビザラインでは中心咬合位に出来ないとかやりにくいわけではないのですが、
インビザラインというものが現在歯科医師の中で大ブーム中となっています。売上的な意味で。
j経験が浅い、医院の利益のためにインビザラインを導入したばかりの歯科医院が急増しています。

私は開咬の理療はインビザラインが一番治しやすいと思っていて、
自院では開咬の患者さんにはほとんどインビザラインを勧めておりますが、
前述の理由からインビザラインを取りう使う歯科医院は、レベルが雲泥の差です。

中心咬合位の達成以前に、ちゃんと咬頭嵌合位に持っていき、それを安定させられる歯科医院であるかどうか。
開咬は難度の高い治療なので、歯科医院選びは慎重に行いましょう。
そして、中心咬合位を目指してほしいのでしたら、相談時に進言しましょう。
正直、私だったら「要求の高い患者さんが来ちゃったな」と感じつつ、何とかしようとしますが、
開咬で中心咬合位を目指すのは大変なので、大丈夫だと約束できる先生を選びましょう。
治療途中で突然顎位がドカンとずれてしまったら、その段階で中心咬合位は不可能なのでご理解ください。

以上を質問の回答といたします。よろしくお願いいたします。