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矯正コラム

2022.06.30

ぐらついていない乳歯の抜歯

質問

6歳の子供の下の前歯の一本がぐらついてきていました。
その後ろから永久歯が生えてきていたので本日歯科医院に相談に行ったところ、レントゲンでの診断後に抜歯した方がいいとの事でした。
その歯だけなら分かるのですが、対称となるもう一本の乳歯も抜歯した方がいいとの事で下の歯を合計2本抜きました。
ぐらついていた乳歯は根元の短いものでしたが、もう一本の乳歯はぐらついてもおらず永久歯もまだ生えてきていなかったので歯の根本がかなり長いものでした。

乳歯の根の吸収に向かって控えてる永久歯が生えていく為その道筋がないと永久歯が変な位置から出てきてしまうことが可能性としてあると知人から指摘を受けて不安になっています。
また永久歯が長い間生えてこなかったら支障はないのかますます不安になり相談させて頂きました。

回答

永久歯萌出の障害となっているため、乳歯を抜歯したということですね。
動揺のない歯を抜歯して問題がないかということですが、おそらく問題はないと思われます。
歯科医師が要求されていない乳歯を無意味に抜歯することはありませんので、抜歯して問題ないという判断でしょう。
抜歯前にレントゲンを撮影しているので、そのレントゲンを確認した上で、ほっておくと反対側の永久歯の邪魔になると判断したのだと思います。
抜かなくても問題なかったかもしれませんが、どうせ麻酔が効いているのでついでに抜いたのでしょう。

そもそも、ぐらついている乳歯もそのうち抜けていたはずであり、痛みが無いのであれば自然に抜けるまで放置でも良かった可能性が高いです。
今回、わざわざ乳歯抜歯にいらっしゃったので、反対側の乳歯をそのままにしていたら、きっとまた抜きに来るでしょう。
2回麻酔をすると2回痛い思いをするので、一度に2本抜いてくれたのだと思います。

上の前歯は下りエレベーター
下の前歯は上りエスカレーター
と言われています。上の歯は真っ直ぐに下りてきます。
下の歯は内側に生えてから斜め前に移動していきます。
なので、下の前歯が内側から生えてくるのは正常であり、内側に生えても自然と正しい位置に移動することが多いです。
故に、お子様のような状態になっていたとしても、抜かないでも良かったかもしれません。
乳歯が長く居座ることで、永久歯の位置がずれてしまい、歯並びがガタガタになることもありえるので、抜歯したことが間違いということはありません。
将来的に矯正治療で歯並びをキレイにする予定であれば、生え変わりにナーバスになる必要はありませんが、
出来ればやらずに済ませようということであれば、適切なタイミングで乳歯を抜歯した方が良いでしょう。

知人の方は歯科関係者の方でしょうか?乳歯が道筋になる、というのはあまり聞いたことがありません。歯の生える道筋は、歯導帯と言われる細い管と言われており、検索してもそうそう出ないようなマニアックなことをご存じなのでしょうか。永久歯が乳歯の歯根を溶かし、ぐらついて抜けたところに勝手に永久歯が生えてくるものなので、多少早期に乳歯を抜歯したとしても問題はないはずです。
おそらく、言いたいのは「乳歯は永久歯が生えてくるスペースを保持する役割があり、早期に喪失すると周囲の歯が動いてしまい、永久歯の萌出スペースが減り、正常な位置から生えられなくなる可能性がある」ということではないでしょうか。

これはその通りであり、適切なタイミングよりも早すぎると歯列不正につながる可能性はあります。
ただ、6歳で下顎乳中切歯がいなくなるのは正しく適切なタイミングと言えるでしょう。早過ぎたりはしません。
また、周囲の歯が動くようなパターンは、どちらかというと前から数えて4番目や5番目の乳臼歯の話です。
10歳くらいで抜けるはずの第二乳臼歯が8歳くらいで抜けてしまうと、第一大臼歯が近心移動していまい、第二小臼歯が生えられなくなる、というようなことはたまにあります。
今回は下の前歯でのことなので、何かしら問題になることはないはずです。

今回は、適切な時期に、抜いても抜かなくてもいい乳歯をついでに抜歯した、というケースですが、今後の生え変わりの方が歯列不正につながりやすいです。
乳歯を抜くべきか抜かないべきかなどは、担当の先生としっかり話し合った上で選択した方が良いと思います。
このタイミングで乳歯を抜くべきでなかった、ということもあれば、このタイミングで乳歯を抜かないといけなかった、ということもあります。
今後、もし歯並びのことで気になることがあれば、専門でない一般歯科の先生の発言を鵜呑みにせず、矯正専門の歯科医師に相談した方が良いかと思います。