医院名:マロニエ矯正歯科クリニック 
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矯正コラム

0202.06.23

滑舌について

質問

裏側矯正の場合と、パラタルアーチがついている表側矯正の場合だと、どちらが食べずらくて喋りずらいでのでしょうか?

回答

矯正装置は、異物を口の中に入れますので、装着後は必ず違和感があります。
表側矯正は、器具に唇が当たってしゃべりにくくなります。
裏側矯正は、器具に舌が当たってしゃべりにくくなります。
マウスピース矯正も、上下のマウスピースどうしが当たってしゃべりにくくなります。
ただ、必ず慣れてくるものなので、次第に違和感は減っていきます。
歯が無くなった高齢の方も、入れ歯を入れて食事をしていますし、人間には適応能力があります。

表側矯正も内側に何かしら追加装置が入ることがありますが、パラタルアーチもその一種です。
装着直後は違和感もあり、舌が当たってしゃべりにくくもなるでしょう。
ただ、何種類か存在する追加装置の中で一番違和感が少ないのがパラタルアーチです。
装着直後は皆さんフガフガしてますが、次にお会いするころには普通にしゃべっています。
また、治療終了まで入り続けているものでは無く、不要になったら途中で撤去します。

対して、裏側矯正は治療の最後まで入りっぱなしです。
下は表側につけるハーフリンガルならまだしも、上下裏側ではずっと舌が当たり続けます。
アンカースクリューなどの追加装置も入るでしょうし、裏側矯正の方がしゃべりにくいと思います。
マウスピース矯正、表側矯正、ハーフリンガル、フルリンガルの順にしゃべりにくくなっていきます。

また、食べずらさに関しては、そもそも矯正治療中は食べにくくありません。
食事は矯正前と同様に出来ますし、どの矯正方法でも日々咬み合わせは変化します。
矯正治療終了まで、決して良い咬み合わせではありませんので、矯正前よりは食べにくいでしょう。
物が詰まりやすいという点においては、ワイヤー矯正は繊維製のものが引っかかりやすいです。
パラタルアーチにも引っかかりますし、というか全部に引っかかります。
それでも食べたかったら何を食べてもいいですし、食後に歯磨きすればいいだけの話です。

咬んだ時の痛みに関しては、矯正方法による差というよりは術者による差が出ます。
表側矯正も裏側矯正もやり方次第で痛くもなりますし、痛みを軽減することもできます。
ずっと痛いわけではありませんし、食べやすいものを食べましょう。
痛み止めもある程度効きますし、食欲が勝てばなんでも食べられます。

もっとも食べにくくなるのは、「バイトアップ」という処置をした後です。
咬み合わせが深かったりすると、ブラケットが歯とぶつかってしまい、外れてしまいます。
ブラケットを守るために、奥歯などにブラスチックを盛り、咬み合わせを高くします。
プラスチック部分しか当たらなくなるため、ブラケットは守られますが、
そのプラスチック部分しか当たらない状態で食事をすることになります。

裏側矯正はシステム上、上の前歯につけたブラケットが下の前歯に当たりやすく、
半数以上の人がバイトアップをせざるを得ず、しかも数年間外せません。
表側よりも圧倒的にバイトアップ率が高いので、総じて裏側矯正の方が食事しにくいと言えるでしょう。
人間は慣れてくるものなので、皆さん奥歯の左右1点ずつしか接していない状態で食事をしています。
マウスピース矯正は、食事中は外していますし、咬んだ時の痛みもほとんどなく、
歯磨きも今まで通りできますし、バイトアップも必要ありません。食べやすさは一番です。

快適さ、というものに関しては裏側矯正は最低です。本当に大変です。
違和感を少なく矯正治療をやりたいのでしたら、裏側矯正は選択肢から除外しましょう。
裏側矯正専門の歯科医院が、いいことばかり書いているかもしれませんが、少し誇張です。
見た目以外はほとんどいいことはなく、デメリットだらけです。
治療費用も高く、治療期間もかなり長く、違和感も強く、歯磨きもしにくく、
装置も外れやすく、バイトアップもすると食事もしにくいけれど、見た目は良い。
表側に絶対にブラケットを装着したくない人が、ずべての弱点を理解して我慢するのが裏側矯正です。

患者さん目線では、どう考えても裏側矯正の方が魅力的に見えますが、
ほとんどの人が表側矯正をやっているのは、理由があります。
矯正歯科医院でも裏側矯正をやっていないところが多く、
裏側矯正をやっているところでも歯科医師側から裏側矯正を勧めることはほとんどありません。
われわれ矯正歯科医師側も、集客以外のメリットが一つもないからです。
裏側矯正は、超大変なので、甘くみて後悔しないように、覚悟をもって選択しましょう。
最近は表側矯正も白いブラケットや白いワイヤーで比較的目立ちにくくなってきましたし、
マウスピース矯正についても進化しているので、治せる症例も増えてきました。

どんな矯正治療方法を選ぼうと、治療前よりもしゃべりにくいし、食べにくいですが、必ず慣れます。
突き放しているように思うかもしれませんが、矯正治療とはそういうもので、慣れるしかありません。
ネット上には様々な情報が転がっていると思いますが、正しい情報も誤った情報も混じっています。
矯正治療は時間もお金もかかって大変だけど、見た目も咬み合わせも良くなります。
矯正治療をやるかどうか、どの方法で矯正治療をするかどうか、
メリットばかりのことはありませんので、デメリットもご理解したうえで、最も納得いく選択をしましょう。