医院名:マロニエ矯正歯科クリニック 
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矯正コラム

2022.04.24

矯正の必要性について

質問

歯科でオープンバイトにより矯正を勧められています。
奥歯しか当たっていない自覚があり、特に左側の方が当たりが強い感じがします。
矯正歯科ホームページの治療例にあるような、前歯の上下に見られる隙間は、鏡で見た感じはそんなに気になりません。

質問としては、
①軽度であってもオープンバイトを放っておくのは、抜歯や虫歯のリスクなど将来的によくないでしょうか
②ライフスタイルが変わる可能性があるのですが、矯正するとしたら始めるのは早い方がいいでしょうか
③矯正することで夜の食いしばりや顎関節症は改善されるでしょうか

回答

開咬(オープンバイト)と言われたということですが、これは他の歯並び以上に矯正治療すべき歯並びです。
歯は咬むためにあり、矯正治療は咬み合わせを良くするために行います。見た目が良くなるのはあくまで副作用です。
現状、奥歯しか当たっていないということであれば、前歯はほとんど機能しておらず、無いのも一緒ということです。
咬む力というのはとても強く、全体的に均等に接触していれば、一本当たりの負担は軽くなるでしょう。
奥歯しか当たっていないと、奥歯だけに咬合力がかかり、奥歯が壊れやすくなってしまいます。
奥歯を守ってあげるために、サボっている前歯を働かせてあげる必要があるわけです。

8020運動というのが、歯科の中にありまして、「80才まで20本以上歯を残そう」運動です。
これを達成できた高齢者の方が、どのような歯並びをしていたか、を調べた研究があります。
ほとんどの方がいい歯並びをしていて、開咬の方は一人もいなかったという結果となりました。
つまり、質問者様が矯正治療をせずにいた場合に、入れ歯になる確率は100%です。
これが、他の歯並び以上に矯正治療をした方が良いとする根拠であり、
歯を残すためには矯正治療し、前歯もちゃんと咬めるようにする他ないのです。

奥歯がいずれダメになり、抜歯となった場合には、そこに歯を入れることになると思います。
部分入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、さまざまな補綴物が選択されると思いますが、
奥歯しか咬んでいないところに歯を入れると、人工物は破壊されてしまい、長持ちしません。
歯が無くなり、歯を入れても壊れ、また歯が無くなり、という流れを繰り返すことになります。
咬み合わせを良くしておけば、将来的に歯が無くなったっとしても、良い状態で歯を入れられることになります。

ということで、開咬は放置しない方が良い、一番良くない歯並びとされています。
という前置きのもと、ご質問にお答えいたします。

①軽度?であってもオープンバイトを放っておくのは、抜歯や虫歯のリスクなど将来的によくないでしょうか

虫歯はほとんど関係ありませんが、前述のように、歯を失いやすいことは統計が取れています。
無くなった歯は帰ってきませんので、無くなる前に、無くなりにくい咬み合わせにしておくことをお勧めします。

②ライフスタイルが変わる可能性があるのですが、矯正するとしたら始めるのは早い方がいいでしょうか

今も歯に負担がかかり続けているので、やるとしたら早ければ早い方が良いです。遅くするメリットはゼロです。
歯がダメになる前に、そして若い方が歯が動きやすいので、なるべく早期に開始することを検討ください。
だいたい2~3年間は矯正歯科に通い続けることになります。
仕事や家庭の事情で継続的な通院が困難であると予想される場合は、開始時期を慎重に決めましょう。

③矯正することで夜の食いしばりや顎関節症は改善されるでしょうか

これは何とも言えません。歯ぎしりも顎関節症も、原因は様々です。
咬み合わせが原因であれば、咬み合わせを治すことで改善されるかもしれません。
咬み合わせ以外が原因であるなら、矯正治療をしても改善されないと思われます。
咬み合わせが良くなることで、歯ぎしりのダメージや顎の関節への負担は軽減されるとは思います。

開咬は、治療も難しく、治療後に後戻りを起こしやすい厄介な歯並びです。
適切な診断と、適切な治療が行われないと、うまく治らない、治ってもすぐ崩れる可能性があります。
矯正すべきといった歯科医師が信頼できる先生であるか、
どこでどのように矯正治療を行うかも含め、しっかりと考えましょう。
将来的に歯が残っているかどうかは、今この瞬間の選択にかかっていると言えます。