医院名:マロニエ矯正歯科クリニック 
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矯正コラム

2022.04.12

抜歯したところの矯正治療

質問

上顎右側6番と左側5番を虫歯により抜歯しました。
抜歯してから、2年ほど経過し、現在は両方とも入れ歯を装着しています。
インプラント、ブリッジを検討したのですが、耐用年数を考えると人工物を入れることよりも矯正治療により隙間を埋める方法はありますか?

回答

可能不可能でいえば可能ですが、歯並びによっては現実的では無いかもしれません。

インプラントもブリッジももって20~30年とされています。
20~30年後にまた再補綴の可能性が出てくるということと、
ブリッジに至っては土台にした歯がダメになっている可能性もあります。
天然歯に比べると人工物はあまり持ちが良くないです。
矯正治療によって欠損部分を閉鎖し、すべて天然歯によって咬み合わせを作り上げるというのはよくあります。

ただ、上の歯だけ抜歯し、その部位を閉鎖するとなると、
「まあまあ出っ歯である」「できれば上の親知らずがまっすぐ生えている」状態であるならば、
下を抜かずとも良いでしょう。親知らずはなくても大丈夫です。
Ⅱ級仕上げという、上だけ抜歯の治療法もありますが、適応症が狭いです。
つまり、上を抜歯するのであれば、下も2本抜歯する必要があるということです。

抜歯によって総歯数が26本になっても、24本になっても、健康上は問題がありません。
「出っ歯で口元が出ていたり、でこぼこがそれなりに強い」抜歯ケースの方であれば、良いでしょう。
出っ歯でもなく、でこぼこもない人が抜歯矯正を行うと、口元が下がりすぎ、老け顔で貧相な顔になる可能性があります。
つまり、質問者様が抜歯矯正すべき歯並びでないのに抜歯矯正を行うことは、誤診といえるかもしれません。
空隙が無くなり、咬みあっていても、顔面の仕上がりが悪くなる可能性があるということです。
矯正治療は単純に隙間を閉じればよいという便利なものではなく、間違えると不利益がとても大きいです。

という前提のもと、もし抜歯矯正を行うとした場合、右上が大臼歯であるというのがネックです。
大臼歯抜歯というのは難易度が少し高いので、ある程度経験の豊富な先生でないと失敗します。
また、右下のどの歯を抜歯するかの判断が難しくなります。
4・5を抜歯するとⅢ級仕上げになってしまいますし、6を抜くと難易度が高くなります。
上5・6抜歯のⅡ級仕上げも、上5・6抜歯して下も2本抜歯しての治療も経験はありますが、
プランニングや治療のやり方がとても重要であり、難易度は高いと言えます。

上だけ抜歯のパターンでの治療が可能かどうか
この状態で下も抜歯しての治療が可能かどうか
そもそも抜歯矯正をすべきケースかどうか
というのを、一度矯正歯科医師に相談してみると良いと思います。
実際に質問者様の口の中を見ていないので、具体的は話は出来かねます。

矯正治療をやるとしても、難易度は高いので、しっかりとした矯正歯科医師に診てもらうようにしましょう。
欠損部位以外の咬み合わせも、おそらく完璧ではないはずです。
もし、矯正治療によって空隙を閉鎖し、咬み合わせもバッチリになれば、
それが一番歯にとって良いことだと思います。