医院名:マロニエ矯正歯科クリニック 
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矯正コラム

2022.03.22

保険適用での外科矯正期間中の転院について

質問

現在保険適用で外科矯正治療中で、リテーナー期間です。
外科手術が終わったタイミングで会社都合により全く異なる場所への転勤になりました。
保険適応で転院が難しいから、と主治医に言われ、転院に対して非常に難色を示されたため、現在も月一で同じ病院に通っているのですが、本当に転院ができないものなのでしょうか?

気になることがある時に次の通院まで相談できないことが不安です。
8月に口腔外科で外科矯正のプレート抜去予定のため、その後可能であれば現在の居住地周辺へ転院したいです。
質問をまとめると、
①保険適応での外科矯正治療中に、保険適応のまま別矯正歯科へ転院はできるのか?
②出来るのであればその際に必要な手続きは何か?
また、転院するタイミングはプレート抜去後で問題ないか?
③出来るのであれば担当矯正歯科医が転院させる事を渋るほど手続きが煩雑なのか
④転院する前に現在の居住地で転院先を見つける際に注意すべきポイントや伝えるべきことは何か
以上4点です。

回答

現在、術後矯正中ということですね。
プレート除去が今年の8月ごろということは手術後半年程度ということでしょうか。
結論から言いますと、転院は可能ですし、むしろ自費よりも簡単です。
質問者様に言えない、転院を渋る理由があるのだと思います。
往復の交通費もかなり負担が重いと存じます。転院した方がいいと思います。

保険治療というのは、国に保険点数が決められております。
やった処置に関して、合計何点だから、支払いはいくらです、と決まります。
国が決めているものなので、歯科医院によって金額は一緒です。

外科的矯正治療についても、細かく点数が設定されております。
各治療段階で、やった処置について今までも支払っていったと思います。
矯正治療はまだまだ続いていきますが、もし転院した場合、
転院先の歯科医院で残りの治療の点数分、転院先で払えばいいだけの話です。

自費治療の場合は、医院によって矯正料金の設定が異なりますし、だいたい先払いです。
返金するかしないか、いくら返金するのか、というのが転院前の医院の判断にゆだねられますし、
転院先の歯科医院が、いくら矯正料金を請求するのか、全額なのか、値引きするのかもややこしいです。
転院前の医院はあまり返金したくないでしょうし、転院先の医院も損したくはないわけです。

矯正治療は長期間に及ぶもので、治療期間内に転院になることはよくあります。
転院においてもっともハードルとなるのは、お金の問題になります。
多くの場合、2医院に対してお金を払っていくことになりますが、
1医院で継続していた時よりも金額が多くなるケースが多いです。
保険治療に関しては、治療の進行度合いで、キッチリ金額が決まっているので、すごくシンプルです。
なので、保険診療だから転院しにくい、というのは考えにくいです。

では、なぜ転院を渋っているのか。ありえるパターンを考察してみましょう。
あくまで可能性の話なので、実際は通院中の歯科医院さんと話し合うべきと思います。

・保険点数の取り方が間違っている

これが一番あり得ます。保険診療は処置によって点数が決まっており、厳密です。
本来取るべきでない点数まで取っていたとしたら、それはアウトです。
転院されるとそれがバレてしまうので、嫌がっているパターンです。
保険の矯正は、治療は大変ですが点数は高くなく、売り上げとしてコスパは良くありません。
なので、ズルして儲けるために余分に加算しようとする歯科医師もいるかもしれません。

あってはならないことですが、過去に大学病院勤めのころには散見されました。
他院から自院へ転院してくる患者さんの点数の取り方が間違っていると、こちらが点を取れなくなります。
わざとでなく、ミスとして間違っている場合も、ただ単に雑な取り方な可能性もあります。
本来できるはずの転院をさせない、というのは後ろ暗いことがあるからかもしれません。

・治療がうまくいっていない

矯正治療、または手術がうまくいっておらず、それを隠したいパターンです。
見栄の問題として、失敗症例を見られたくない気持ちというのはどの歯科医師も持っています。
転院先の先生に、治療がうまくいっていないと言われたら患者さんから翻ってクレームが入るかしれません。
なるべく自分が診ているうちに改善したい、おしまいにしてしまいたいと思っているのかもしれません。

・自分の症例にしたい

反対に、良く治っているからこそ、自分の実績にしたいと思っているのかもしれません。
保険の矯正をやっているということは、矯正専門の歯科医院であり、認定医なども持っているかもしれません。
資格の更新などのために良く治った症例が必要になったりもするので、手放しくないのかもしれません。

・転院先の歯科医院の売り上げにならないから申し訳ない

まっとうに治療を進めてきていて、正しく点数を算定してきたとしていたならば、
術後矯正を半年もしている場合、点数をほとんど取り切っているかもしれません。
これは制度上の問題ですが、今の質問者様の状態で転院すると、転院先はほとんど利益が出ません。
赤字になるかギリギリのレベルでしか点数を算定できないので、もしかしたら転院先も難色を示すかもしれません。
金銭面で受け入れ先が見つかりにくい、という点でもしかしたら転院が難しいと言っているのかもしれません。
しかし、それはあくまで転院先の判断で、大学病院などはちゃんと受け入れてくれるはずです。

・単純に、自分で治したい

矯正歯科医師はこだわりを強くもっている先生も多く、他人に治療させたくないと思っている先生もいます。
治療も終盤になっているので、どうせなら最後まで自分で治したいと思っているのかもしれません。
それに付き合わされることになる患者さんは大変ですから、自由に転院していいと思います。
また、術後矯正は実はとても難しく、どのような術前矯正を行い、どのような手術をしたかでやり方が変わります。
この時期に転院すると、転院先の歯科医師はどのようにすべきかわからないので、
最後まで同じ担当医が治療するのがベストではあります。

・手続きがめんどくさい

転院の手続きは、資料を作製するのが一般的です。単にそれが面倒なのかもしれません。
おひとりの資料を作製する際、丁寧に事細かくやると1時間はかかるでしょう。
保険か自費かに関わらず、転院は準備に時間がかかるので、矯正歯科医師としては望ましくは思わないでしょう。

考えうるのは、上記のパターンです。どのような理由にせよ、転院できないなんてことはありません。
通院のしやすさ、というのは安心して矯正治療に通っていただくうえでとても重要ですので、
積極的に転院する意向をお伝えした方が良いと思います。

前置きが長くなりましたが、質問にお答えします。

①保険適応での外科矯正治療中に、保険適応のまま別矯正歯科へ転院はできるのか?

できます。

②出来るのであればその際に必要な手続きは何か?
また、転院するタイミングはプレート抜去後で問題ないか?

保険点数をどこまで算定しているかが重要です。または検査の資料です。
転院はよくあることで、慣れているはずなので、元の矯正歯科医院に作成してもらいましょう。
先に転居先で矯正歯科をみつけ、そこの歯科医師に何が欲しいかを聞くのが確実です。
プレート除去前でも除去後でも問題はありません。

③出来るのであれば担当矯正歯科医が転院させる事を渋るほど手続きが煩雑なのか

それほど面倒ではありません。時間はかかりますが、どの矯正歯科でもやっています。

④転院する前に現在の居住地で転院先を見つける際に注意すべきポイントや伝えるべきことは何か

まず、申請を出している矯正専門歯科医院と大学病院しか保険の矯正をやっていません。
まずは、保険矯正をやっているかどうかを確認してから訪れると良いでしょう。
使用しているワイヤーやシステムが医院によって異なるので、注意しましょう。
旧医院で使用していたものが、新医院で使えない可能性があります。
大学病院などは、実力も安定していて、転院も断らず、どんな装置もそろっているので確実です。

通院に1時間、長くても2時間程度であれば、転院せずに通い続けましょう、となります。
それが新幹線の距離となるとなかなかそうもいかないと思います。

と、ここまで入力して気づきましたが、もうリテーナーになっているのですね。
まだワイヤー矯正治療中のものとして回答してしまいました。

であれば、月に一回通院する必要はありません。
数か月に一回の通院ですし、通院感覚も長くなっていきますので負担は軽くなるとと思います。
もとの歯科医院に年一回くらい通い続ける程度なら苦でないかもしれませんし、
負担であるならば転院しても何の問題もないと思います。

リテーナーの調整だけならばどの矯正歯科でも大して差は出てこないと思います。
転院先もほとんど再診料くらいしかとれませんが、コストもかからないので受け入れてくれるでしょう。
そもそも、自費のみの矯正歯科であっても、数千円の再診料だけで保定を見てくれるところはいっぱいあります。
保定になっているのであれば、ご自身で気に入った歯科医院を選べばいいと思います。