質問
小学生頃から受け口が気になっています。
矯正によって歯並びは綺麗だったけど、顎はどうにもなりませんでした。
なるべく歯が出てるように見えないようにする矯正をしてもらいましたが、最近頭痛がひどくなり、歯医者に行くと、その矯正のせいで顎の関節が圧迫されてかなり緊張していると言われています。
回答
情報が具体的でないので、見当違いな回答になってしまったら申し訳ありません。
まず、すでに矯正治療済みということですが、小学生のうちに行いましたか?
中学生で始めましたか?高校生以降で開始しましたか?
それにより、治療内容や方針、結果が異なるように感じます。
おそらく、すべて永久歯が生え切ってから(中学以降)で本格矯正を行ったのではないでしょうか。
矯正治療で抜歯はしていますか?どの歯を抜きましたか?顎間ゴムは使用しましたか?
頭痛は矯正治療が終了してリテーナーになってからどれくらい経って発現していますか?
頭痛については医科や整体には相談していますか?歯科だけですか?
頭痛を相談した歯科医師は、矯正治療を行った人間と同一人物ですか?
歯と顎をあるべきところに持っていくというのは、手術を前提とした治療をやることを提案されたということですか?
この情報が無いと、状態が不明確なので正確な返答をするのは難しいですね。
小学生低学年頃であれば、上顎骨を前方に移動させる治療が可能であり、骨格的な改善が見込めますが、
それ以降は骨格を動かすことはできません。
下顎が前に出ているのを後退させるためには成人してから顎変形症の手術をする以外にはなく、
手術を伴わない矯正治療単独では骨格的な改善はありません。歯しか動かしていないわけですから。
「手術しないと顎は下がらない、矯正治療単独では咬み合わせしか改善されない」
という事実に関して、矯正歯科医師から適切な説明があったか、
その点について質問者様自身のちゃんとしたご理解があったか、はとても大切です。
年齢的にも学生さんであったなら、親御さんの意思などもあり、手術を選択できなかったのかもしれません。
骨格的なずれがある人は、歯が何とか咬もうとするので、歯の角度が正常値でないのです。
下顎前突の人は、上の前歯が前に傾き、下の前歯が後ろに傾き、何とか咬もうとします。
反対に、上顎前突の人は、上の前歯が後ろに傾き、下の前歯が前に傾き、何とか咬もうとしているのです。
これをデンタルコンペンセーションといいます。顎のずれを歯が補正しようとしているわけです。
下顎前突を矯正単独で治す場合と、外科矯正と併用して治す場合では、歯の動かし方が真逆になります。
矯正単独では骨が動かないので、上の歯を前に出し、下の歯を後方に倒しこみ、反対咬合を改善します。
そもそも下の歯が後ろに傾いているのをもっと傾けていくわけですから、本来あるべき歯の角度からずれが強くなります。
ご自身の歯並びをみると、おそらくかなり下の歯が後ろ側に倒れこんでいると思います。
手術せずに治すというのはそういうことなので、非手術の矯正としては正しいです。これをカムフラージュ治療と言います。
手術を併用して治療する場合は、手術前矯正で上の前歯を後退させ、下の前歯を前方に傾けて、一度反対咬合をキツくします。
その上で、下顎単独もしくは上下顎を骨ごと前後に動かして反対咬合を改善します。骨が動くので顔が変わります。
骨の位置も正常になり、さらに手術前に事前に歯の角度を正常化しているので、歯の角度も理想的になっています。
では、カムフラージュ治療は妥協したプランかと言われたらそういうわけではないです。
正常値がすべてではないからです。骨格や歯の角度を正常にすべき、
となるとほとんど人が手術が必要で、さらにほとんどの人が抜歯が必要になるでしょう。
誰もかれもが正常になりたいわけでもないですし、そもそも正常とは何でしょうか。
正常な身長・体重・筋力・知力でなくとも人は生きています。正常であるべきというのはある種の強迫観念です。
どこかの誰かが勝手に決めた正常値に執着する必要はありません。
手術を伴う矯正も、リスクも大変大きく、手術自体も大変で、本人が望まなくても顔が変わってしまいます。
積極的に顔を変えたいという要望が無い人は、カムフラージュ治療を選ぶ人が多いように思います。
ただ、選択肢は提示されるべきです。手術しない矯正と、手術する矯正のメリットやデメリット、仕上がりについてです。
歯の動かし方が真逆になるので、手術しない方法を選ぶということは手術する方法を切り捨てることになります。
厳密にいうと、一度手術をしない矯正でカムフラージュ治療をした後で、手術の矯正を行うことは不可能ではありませんが、
非手術矯正をやる前よりも治療期間が延びてしまう、下の歯の歯槽骨が減りやすくなるなどデメリットが多いです。
また、下の歯を抜歯して矯正しているのであれば、下の歯の角度を改善するのはほぼ不可能と思われます。
矯正歯科へ最初に相談した時に、顎が出ているのを治したい、歯だけ治っても満足できないと言うべきだったかもしれません。
ここからが本題ですが、そもそも頭痛の原因は本当に今の咬み合わせのせいでしょうか。
他に原因があるかもしれないので、矯正治療でアプローチするのは誤り、危険かもしれません。
咬み合わせが頭痛の一つの要因として挙げられることもありますが、相談したのは矯正歯科医師だけでしょうか。
僕らは歯並びを治すことしかできないので、患者さんの要望に対して矯正治療で解決しようとしか発想できません。
頭痛というものは多種多様な原因からくるものなので、咬み合わせのせいと断定するのは早計です。
医科や整体などを受信し、色々治療法を試したにも関わらず頭痛が改善されず、最後に行き着いたのが矯正歯科ならいいでしょう。
何が言いたいかというと、咬み合わせを治しても頭痛が治らないのではないかという点です。
咬み合わせが原因で頭痛が出ているなら、咬み合わせを治せば頭痛も治るかもしれません。
咬み合わせ以外が原因なら、咬み合わせを治しても頭痛は治らないはずです。
咬み合わせは大事ですが、人体の不調がなんでもかんでも咬み合わせが原因ではないでしょう。
まずは医科、その次に整体に行くべきで、歯科に頭痛を相談するのは最後にした方が良いでしょう。
相談を受けた歯科医師は、現在の咬み合わせが顎の負担になっていると言ったということですね。
顎間ゴムの過剰使用などにより強引に後退させている下顎骨の下顎頭が頭蓋骨の関節窩に圧迫されていることが
ストレスになっているのは考えられます。
その上で、歯ぎしりなどで筋肉の緊張が起こって頭痛につながっているという考察でしょうか。
顎関節に圧迫されている下顎頭を開放するということは、顎を出すということになります。
下顎もしゃくれるでしょうし、咬み合わせも崩れることになります。前歯がまともに咬まなくなるので、
咬み合わせとしては悪化してしまうように思います。頭痛が改善されても、歯の寿命は縮まってしまうと思われます。
せっかく改善した咬み合わせを安易に崩すのはおすすめできません。
担当歯科医師が、咬み合わせを崩した後でどのように正常な咬み合わせに再構築していくつもりなのかがわかりません。
完全なる反対咬合にした後で、手術をするつもりならば理解できます。
ご存じかもしれませんが、手術を伴う矯正治療というのは保険適用になります。
通院している矯正歯科が、保険の矯正治療を行うための申請を出しているかは確認すべきでしょう。
自費で手術をするとなるとかなり高額になると思われます。もし手術の矯正治療を行うのであれば、
ちゃんと顎変形症の外科的矯正治療が出来る矯正歯科、または大学病院矯正歯科を受信されることを勧めます。
矯正料金・手術費用・入院費用を合計すると、保険が効いてたしか7~80万円ほどだったと記憶しています。
いろいろと控除などもあります。頭痛やこれまでの治療や外科矯正なども含めて、
大学病院などに相談に行ってもいいかもしれませんね。