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矯正コラム

2021.12.16

2級仕上げの噛み合わせQ&A

矯正歯科ネットにてご質問いただきました回答です。

通常、歯の本数は28本です。上のみ2本抜歯すると26本に、上下で4本抜歯すると24本になりますが、適切に治療を行っていれば、咬み合わせという点ではさほど差はありません。上下の歯の接触面積、歯が何本残せるか、咬む力など、全体的にバッチリ咬み合わせを仕上げてあれば大きな差はないと思います。

ただ、前歯がどれくらい後退するか、口元が引っ込むかという点については差が出ます。なるべく前歯を下げたいのであれば、上下4本抜歯の方が効果は高いです。

⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①
 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③②①

真ん中の歯から順番に番号を振ると、正常咬合(1級)はこのような状態です。上の⑥よりも下の⑥が3mmほど前に来ている状態が、もっとも上下の歯が緊密に咬みあいますし、前歯も適切に咬みあいます。半分ずつ互い違いにジグザグ咬みあっている状態を「1歯対2歯咬合」と言います。矯正治療は基本的に1歯対2歯咬合を目指します。

 ⑦ ⑥ ⑤ ③ ② ①
⑦ ⑥ ⑤ ④ ③②①

これが2級仕上げの状態です。Ⅰ級は上⑥より下⑥が3mm前に来ている状態ですが、下⑥よりも上⑥が3mm前に来ていてもジグザグ1歯対2歯で咬合します。上顎前突の方には、あえてこの2級仕上げを選ぶこともあります。上下4本抜歯で1級仕上げにするか、上2本抜歯で2級仕上げにするか、その判断基準についてをご説明させていただきたいと思います。

文面から察するに、1級仕上げか2級仕上げかを迷うケースというのは、現在の歯並びが上下の⑥どうしが咬みあっている「1歯対1歯咬合」になっているのではないでしょうか。

⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①
⑦ ⑥ ⑤ ④ ③②①

この状態で咬合しているとき、4本抜歯か2本抜歯(もしくは非抜歯)のどちらも選べる状況です。4本抜歯であれば、下の奥歯を前方移動させて、1級仕上げに持っていきます。2本抜歯であれば、上の奥歯を前方移動させて2級仕上げに持っていきます。

非抜歯 ← ⑥ → 2級仕上げ
      ⑥ → 1級仕上げ

この状態よりも1級寄りであれば、1級仕上げが治しやすいです。2級寄りであれば、2級仕上げの方が治しやすいです。プランを決めかねるということは、ちょうど1歯対1歯咬合になっているので、どちらを選んでも治しやすさに差が無いからではないでしょうか。

「出っ歯を改善するために前歯を下げたい」というのが主訴だと思いますが、どれくらい前歯を下げたいかでプランを選ぶべきだと思います。
上下4本抜歯であれば、上の奥歯の位置は変わらずに抜歯スペースを前歯の後退に使用できます。上2本抜歯だと、抜歯スペースの半分を上の奥歯の前方移動に消費されてしまうため、さほど前歯が後退しません。1級仕上げと2級仕上げでは、ざっくり3mm前歯の後退に差が出ます。
なるべく前歯を下げたいのであれば、上下4本抜歯の方がいいです。そこまで前歯が下がらなくてよいのであれば、上2本抜歯でいいと思います。通院されている矯正歯科で、セファロ分析や治療シュミレーションがあったと思います。前歯がどれだけ後退したかは、矯正治療後の口元の外観や口の閉じやすさ、治療の満足度に直結しますので、治療プランの選択は慎重に行うべきだと思います。

基本的に、矯正治療には「とりあえず」というものは存在しませんので、途中からプランを変更することは稀です。もちろん、最初に立てた治療プランと実際の治療経過が違ってきた時には治療方針の変更や、抜歯の追加を行うこともあります。
2級仕上げの場合は上⑥を前に移動させますが、1級仕上げの場合は上⑥は前方移動させない方が良いので、どちらの方針で行くべきかは最初に決めておいた方がいいとは思います。
下手に2級仕上げを目指して治療しつつ、途中から下の歯を2本追加で抜歯するとなると、治療期間も延長しますし、治しにくくなるので、矯正歯科医師側も意図的に行うことはしないと思います。おそらく、担当医の方はほとんど2級仕上げで進めるつもりなのではないのかなと思います。もし上下4本抜歯の方が患者様として望ましいのであれば、治療開始前の段階で、しっかりお伝えした方が良いと思います。
咬む位置が安定せず、治療中に咬合が変化する可能性が予想される患者様に関しては、上下4本抜歯すべきケースでも下の抜歯を様子見する場合はあります。

1級仕上げか2級仕上げかの判断基準は前歯の後退量以外にもあります。

・上下4本抜歯よりも上2本抜歯の方が歯の移動量が少ないので、治療期間が短く済みます。半年~1年程度違ってくると思います。

・単純に抜歯本数が少ないので、上2本抜歯の方が患者様の抵抗感が少ないです。なるべく歯を抜きたがらない患者様は抜歯本数が少ないプランを選択することが多いです。

・上下4本抜歯は上の奥歯が前方移動しないように、アンカースクリューなどの追加装置が必要になる可能性が高いですが、上2本抜歯はむしろ前方移動させたいので追加装置が不要なことが多いです。装置代や難易度で矯正料金が変わる歯科医院であれば、上2本抜歯の方が安くなる可能性が高いです。

・2級仕上げは下⑦の後ろ半分が空いており、うまくいけば上の親知らずが使えるので、最終的に28本使える可能性があり、歯を抜いていないのと同じ状態にもっていける場合があります。

・下の歯並びのでこぼこが強い場合、2級仕上げは下が非抜歯となり、下の前歯が前方傾斜します。下の前歯の歯槽骨が薄かったり、下の歯肉退縮が強い場合、下の前歯を前方傾斜させてしまうと歯肉退縮が著しくなり、歯の寿命を縮めてしまうこともあります。口元や前歯の位置的に2級仕上げでも問題なくとも、下の歯を抜いたほうがいいケースもあります。

このように、上2本抜歯にするか上下4本抜歯にするかは様々な判断基準があります。正直、上2本抜歯の方が治療が楽なので、どちらでも良いのであれば2級仕上げを選ぶ先生も多いのではないでしょうか。

また、プランを2つ提示されている場合、2級仕上げは妥協的なプランなることが多いです。なぜなら、さほど前歯を下げる必要が無く、明らかに2級仕上げがベストプランである場合には2級仕上げしか提案されないからです。上下4本抜歯の方が時間もかかり、抜歯本数も多く、前歯も下がりすぎてしまうようなプランはそもそも提案しないからです。
2つ提示されているということは、上下4本抜歯が理想的なプランであり、上2本抜歯がベストではないが楽なプランとして提案されているということです。口元の仕上がり、治療期間、矯正料金、残された歯の健康状態など、様々な要素から、患者様ご本人様が最適であると思えるプランを選ばれるとよいと思います。担当の先生と話し合いが足りていないと感じていらっしゃるのであれば、再度相談されるとよいと思います。

長文となりましたが、矯正歯科医師は色々なことを考えて治療プランニングを行っております。患者様が抜歯に抵抗があるとおっしゃったので、上2本抜歯を提案されているのだと思います。前歯をなるべく下げたいのであれば、下も抜歯した方が良いかもしれませんね。